How to Hoya
ほやはホヤ貝と言われることもありますが、貝ではありません。脊索動物に分類され、脊椎動物(人間)に近いグループです。角のような2つの突起があり、+の形に閉じるのが入水孔、-の形に閉じるのが出水孔です。海の中では大きく口を広げて海水を循環しプランクトンなどを漉し取ります。2000種を超える種類がありますが食用では主に「真ボヤ」と「赤ボヤ」が有名です。真ボヤの殻には2つの突起以外にも無数の突起があるのが特徴です。
ほやは人間の持つ5つ味覚《甘味・塩味・酸味・苦味・旨味》を兼ね備えた珍しい食材です。新鮮なほやは苦味が少なく甘味を強く感じます。活ほやは殻のまま時間が経つとほや特有の苦味と臭味が増加します。ほやが嫌いという人は、そのようなほやを食べてしまったからかもしれません。
ほやの旬は5月~8月。冬季の産卵期に備え栄養を蓄え身が厚くなります。産地では旬のほやを水揚げしたその日のうちに殻を剥き冷凍します。現在は冷凍でも活ほやと遜色のないほやが味わえます。10月頃から卵を持ち始め、1月頃に産卵期を迎えます。真冬の子持ちほやはクリーミーな味でとても美味ですが、水揚げが極少量なため、なかなか味わうことは できません。
ほやはカロリーやコレステロールが低く、成人病予防効果があると言われている「タウリン」、疲労回復や集中力を高める「グリコーゲン」を豊富に含みます。コラーゲンの生成や抗酸化作用のある「亜鉛」や、「ビタミンB12」「ビタミンE」「鉄」も豊富で、美容と健康にとても良いとされています。近年はほやの内臓に多く含まれる「プラズマローゲン」という物質が認知症予防に効果があると発見されました。
水揚げしたてのほやは鮮やかな濃いオレンジ色をしています。活きたほやは口を堅く閉じ中に海水を溜め込み、殻はパンパンに張っています。時間とともに殻の色は黒ずみ、張りがなくなってブヨブヨとした触感に変化します。体内に残された糞の独特な匂いが時間とともに身に移り、身に含まれる酵素が癖のある臭気を生むため、時間が経過したほやは、本来の食味を変えてしまいます。また、熱に弱く、真水にさらすと死んでしまいます。鮮度を保つには低温の殺菌海水で保管する必要があります。 美味しいほやを食べるには、徹底した鮮度管理をされた活ほやを選ぶか、産地で新鮮なうちに剥いて冷凍された冷凍ほやを選ぶことでほや本来の甘味と旨味が味わえます。
〝まぼ屋〟とは
東日本大震災前、宮城県はほやの生産量全国一位で84%のシェアを占めていました。2011年、震災により養殖設備は壊滅的な被害を受け、出荷までに3年を要するほやは、2014年にようやく少しずつ出荷が再開されました。ところが、宮城県産ほやの7割を出荷していた韓国が原発事故を理由に東北関東8県の水産物の輸入禁止措置をとったため、ほやは生産過剰となり、2016年から生産量の6割にあたる7,600トンが東京電力補償のもと廃棄処分されるようになりました。現在韓国は自国の養殖と北海道からの輸入でほやの供給を賄っています。販路を失い養殖をやめてしまう漁師も出てきました。
高い養殖技術と生育環境により高品質な宮城県産ほやは、宮城が誇るべき唯一無二の食材です。株式会社飛梅では、そのことをより多くの人に伝え、消費拡大を助けるべく、2017年に仙台駅前に日本初のほや料理専門店「まぼ屋」を開業しました。生で食されることの多かったほやを、様々な調理法で提供し、また、夏しか食べられないと思われていた活ほやを、通年で活の刺身で提供することにより四季の様々な味わいのほやを提供してきました。ほやを食べたことがない人も、粗悪品のほやで嫌いになってしまった人も、ほやが大好きな人も、これまでの印象を覆すようなお店になっています。
そして、その取り組みをさらに広げるために、2018年、「まぼ屋印」のほや加工品の製造販売を始めました。大きな被災をして壊滅的な被害を受けた、仙台のとなりに位置する名取市閖上地区に仮設工場を建設しました。産地の女川石巻地区までは三陸道で車で50分。自社の冷蔵トラックで漁港まで直接仕入れに行き、自社工場で一次加工から行っています。生産者が明確で、品質管理を徹底して行うことができるため、安心安全で高品質な商品を提供できます。専門店のノウハウを凝縮した商品を、便利で使いやすく、食べやすく、ご提案いたします。
ほやを宮城の名物として確立し、宮城から全国・世界へと発信し、消費量を拡大していくため、どうぞ皆様のお力をお貸しください。